2001年、「大人から幸せになろう。」という自主企画イベントを終えた時から
「いつか実現させてみたい」と思ってきたことなのですが、
これまで一貫して若者が主役で来たこの国に、この辺で真の意味での
「大人の文化」を根づかせたいと思っているのです。
2005年に株式会社クリエイティブ・シニアを創社して以来、
いくつかのシニアプロジェクトを立ち上げても来ましたが、
ここでは歩みをさらに前に進めて、大人の手による大人のための組織(ネットワーク)を創りたいのです。
アメリカには50歳以上の人たちで構成されている「AARP」という組織があり、
実に3,800万人もの人が加盟しています。
数年前に私もワシントンDCにある本部を訪ねたことがありますが、
ファッションビルのような美しいオフィスには1,800人のスタッフが働いており、
会員向けに届けられる雑誌編集部やラジオ局までが備わっている巨大な情報提供機関でした。
日本でもこれまでにAARPのような組織を作りたいという動きはありましたし、
私がある広告代理店と繋いだことがキッカケでAARPの人たちが来日して
フォーラムを開催したこともありますが、具体的な組織設立には至ってはいません。
AARPは今やアメリカ社会では数の上から言っても、連邦政府にとっても大きな存在で、
思想的には中立としながらも大統領選挙にも大きな影響を与えていますし、
雇用の現場における年齢差別撤廃の法律が作られたのも、AARPの存在が大きいと言われています。
私は政治的な意味でのプレッシャー団体にはなりたくないと思っていますので、
まずは大人だからこそ出来ること、大人だからこそやるべきことを真剣に考えるというところから
スタートしたいと考えています。
平均寿命が、飛躍的に伸びて、75歳を過ぎても保険料を払わなければならない今の日本では、
江戸の昔のように楽隠居をすることなど出来ません。
だからといって儒教的精神も希薄になる一方の現代社会で、
「年長」というだけで敬愛してくれることもありません。
折しも団塊世代と言われる戦後のベビーブーマーたちが、
これまで帰属していた世界に区切りをつけはじめています。
「生涯現役」を標榜している彼らですから完全リタイアをする人はごく少数で、
定年になっても何らかの形で社会との回路は繋がっています。
今や「ユーミン・サザン世代」も50歳に突入してはいますが、
ここでは680万人もの厚い層を形成しているアクティブでチャレンジングな
(「新しモノ好きで、おっちょこちょい」という言い方もありますが)
団塊世代に牽引役になってもらいたいと思っています。
考えてみれば、日本では「高齢化社会をどう生きるか」という議論は盛んでしたが、
消費ターゲットが若者だったということもあって、これまで大人のロールモデル
(行動の規範になる存在。お手本)に言及する人はいませんでした。
50歳以上の人が5,500万にも迫る今、この国にも清新なイメージで貫かれた
「大人のロールモデル」が必要とされていると思うのです。
いつだったかアメリカの雑誌で見かけた広告に、
「I worked so very hard. Because I want to live as a human」というような
コピーがありました。如何にも成功をおさめたといった感じの紳士が、
痩せ細った子どもを胸に抱きながら言った言葉です。
「大人のロールモデル」と言ったとき、この広告のことを真っ先に思い出しました。
国のため、会社のため、家族のために、ここまで懸命に働いてきたシニアたち。
多くの男たちは会社というシーンで、社員として、あるいは役職者として力を尽くしてきました。
時には私的な思いを犠牲にしてまで必死に働いて来たと言う人がかなりの数に上ります。
一方、家庭というシーンでは、多くの女たちが激務に明け暮れる夫不在の中、
妻や母や嫁という役割を全うしてきました。中にはそれらの役割が重なる中、
軋み合いながら綱渡りのような人生を歩んで来たという人も少なくありません。
私たちの組織(ネットワーク)は、これまでの人生をここでいったんリセットさせて、
「妻として」や「夫として」や「親として」ではない、まして「企業人として」でもない、
「一人の人間として生きる喜び」を得るためのサポートをしていきたいと考えています。
会員には「health&beauty」「money」「travel」「hobby」「learning」「job」等、
この先の人生の指針となる有益な情報(information&data)の提供をするとともに、
個々人が社会と繋がっていくための機会(chance&opportunity)の提供をしていきます。
これらを貫く哲学として、「人として、誰かのためになる」と言う基本理念に則り、
ここでの活動が何らかの形でチャリティーやボランティアに繋がるようなしくみを考えたいと
思っております。弊社が50代、60代を対象に行った調査を見ても「リタイア後、ボランティアをしたい」
と言うシニアは増えてはいるのですが、いざやろうと思うと、
過度に自己犠牲を強いるものや時間的拘束のきついものなど、
一度入ったら抜け出せないようなプログラムが多く、
参入には相当な覚悟が必要と言われています。
私たちは是非とも、楽しく軽やかに参加出来るチャリティーやボランティアの新メニューや
プログラムの開発を考えたいと思っています。
(例えば、篤志家に別荘を一日開放していただき、コンサートやバーベキューパーティーを開いた場合、
参加費の何パーセントかはしかるべき団体に寄付されることとします。
自分だけが楽しければいいというのではなく、
自分が楽しんだ何分の一かを世の中に還元するという考え方です。
同時に腕に自信のある人にはコンサートの運営やバーベキューパーティーの調理・サービスなどを
手伝っていただくなどの多彩なプログラムを企画したいと思っております)
2008年4月6日
クリエイティブ・シニア代表取締役社長/プロデューサー
残間里江子
(ブログ「今夜も眠っちゃいられない」より)
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